今井金箔

金沢箔を知るKANAZAWA-HAKU

縁付えんつけ金箔の製造工程

金箔には「縁付金箔」と「断切たちきり金箔」の2種類の製法があります。伝統的な製法である「縁付金箔」の特徴と製造工程をご紹介します。

縁付金箔の特徴

縁付金箔は400年以上の歴史を持つ、金沢箔の伝統的な技法です。手漉きの和紙を仕込んだ打紙を使って打ち延ばしているため、和紙の表情を持つ落ちついた風合いが特徴です。
挟む紙の寸法が、金箔を縁どるようにひと回り大きいことから「縁付」と呼ばれます。
「縁付金箔 製造」は2014年に国の選定保存技術に認定され、2020年12月には「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

縁付金箔の製造工程

合金の厚みが約1/1,000㎜の上澄うわずみができるまでの工程は断切金箔と同じです。上澄から縁付金箔が完成するまでの工程を中心にご説明します。

縁付金箔の製造工程 澄工程に関して詳しくはこちら

1. 澄切ずみきり

上澄を9~12枚ほどに切り分けます。最終的に仕上げる金箔の重さを均一にするためです。

澄切(ずみきり)

2. 仕入しきい

小間紙こまがみと呼ばれる箔打紙はくうちがみに切り分けた上澄を挟んでいきます。
上澄はなるべく箔の重さが均一になるよう組み合わせます。

	仕入れ(しきいれ)

3. 小間打こまう

上澄を挟んだ小間紙をまき革で包み込み牛革で固定します。

約10cm角になるまで、箔打機はくうちきで打ち延ばしていきます。

4. 渡し仕事

小間打ちが終わった上澄を小間といいます。
小間はまま紙と呼ばれる箔打紙に移し替えます。
移し替え後、まま紙の余分な湿気を飛ばすため、電熱器であたためます(火の間作業)。

5. まえ

火の間作業後、約1/10,000㎜の薄さになるまで箔打機で打ち延ばしていきます。
打ち続けると箔打紙の中の温度が上がりすぎ、金箔が紙にはりついてしまいます。箔打紙を分けて熱を冷まし、冷めたら箔打機で打つという作業の繰り返しです。

打ち前

6. 抜き仕事

打ち延ばされた金箔を、広物帳ひろものちょうと呼ぶ三椏紙みつまたしで作られた冊子に移し替えます。

抜き仕事

7. うつし仕事

広物帳に挟んだ箔は鹿皮を張った革盤と呼ばれるものに竹箸で移し、
竹製の枠で1枚1枚正方形に裁っていきます。箔合紙と呼ばれる和紙と
箔を重ね、縁付金箔の完成です。

うつし仕事

縁付金箔の紙仕込かみじこ

箔打紙の出来が箔の品質を左右するため、箔打紙の仕込みが縁付金箔の製造で一番大切な工程とされています。

雁皮がんぴと泥を原料にした手漉き和紙に柿しぶ、灰汁汁、卵等を含んだ液をしみ込ませ、叩いて紙をしめる作業を半年ほどくりかえし、ようやく金箔が打てるようになります。
箔打紙は1回使用して終わりではなく、紙仕込みを繰り返し、再び箔打紙として使っていきます。これ以上箔が延ばせなくなるほど使用した箔打紙はふるや紙と呼ばれ、古来より、高級あぶらとり紙として重宝されました。

縁付金箔の紙仕込み(かみじこみ)
あぶらとり紙
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